年間40万人!?インドネシア訪日旅行拡大のカギはムスリム対応と言語

先日観光経済新聞のオンライン記事でインドネシア関係の記事がありました。

参考>>【日本政府観光局インバウンド最新リポート 42】インドネシアの訪日旅行 JNTOジャカルタ事務所 大内将太郎 次長

記事によれば

最新のインドネシア人訪日客数は2017年に35.2万人(対前年比約30%増)。2018年は1月~7月までで24万人超(対前年同期比約16%増)を記録し、年間40万人を突破する勢いを保持している。

とのこと。

伸び率は多少下がっていますが、2018年も2017年に引き続き訪日観光客数が増加することは間違いなさそうです。

本記事では伸びるインドネシア人訪日観光客向けのアプローチでポイントとなる点を考えてみたいと思います。

インドネシア人訪日観光客を狙うポイントはどこか?

インドネシア以外の国に関わった経験がある方々とお話すると、口をそろえて「インドネシアのマーケティングは難しい」と言います。

実際にインドネシアを中から見ている我々自身も強く感じます。

細かく話すときりがありませんが、人種、宗教、言葉、制度、格差が複雑に折り重なって難しさを生み出しています。

 

紹介した記事内でJNTOさんはポイントとなるのは

  1. 宗教的な問題(ハラル対応)
  2. 言葉の問題(インドネシア語対応)

と回答されています。

 

ジャカルタから見える所感を少し書いてみます。

 

宗教的な問題(ハラル対応)

JNTOさんが取られたアンケートによれば、

  • インドネシア訪日観光客の3割は中華系を中心としたキリスト教
  • 6割がイスラム教(ムスリム)
  • 人口の9割を占めるイスラム教向けの対応が鍵

とのことです。

 

実際にインドネシアの中にいるとこの数字は納得感があります。

筆者の周囲で日本に行く人や、トラベルフェアやイベントなどで日本に興味を持っている人の多くは中華系インドネシア人が中心です。

単純に中華系インドネシア人には富裕層が多く、可処分所得に余裕があることが理由です。

この傾向はすぐには変わらないでしょう。今後も数年は中華系が訪日観光市場の中心で居続ける可能性が濃いです。

ただ、10年後、15年後となれば別です。中間層が十分に成長した際にはムスリムの方々が中心となるでしょう。

 

  • 短期的な収益を狙うなら中華系&キリスト教徒インドネシア人
  • 長期的な収益を狙うならイスラム教徒インドネシア人

 

という構図です。

このバランスをどう取るか?は重要な判断となります。

なぜなら、インドネシア国内を見ればわかりますが中華系キリスト教徒とプリブミ(※)系イスラム教徒の趣味嗜好というのは交わらない部分が多いからです。

※マレー系インドネシア人のこと。

中華系が集まる場所にはプリブミは行かないし、その逆もまた然りです(もちろん例外はありますが一般論としてです)。

 

訪日観光の打ち出しであまりにハラルを強く打ち出しすぎると中華系を呼び込めない可能性があるかもしれません。

逆に中華系を狙いすぎるとイスラム教の人は「自分たちの場所ではない」と感じることがあるかもしれません。

 

このバランスの取り方は地域全体の方針や戦略で明確にしておくべきでしょう。

 

言葉の問題(インドネシア語対応)

記事内では下記のように語られています。

こうしたイスラム教の文化に対応した受け入れ態勢をさらに日本各地で整えていくことに加え、現在の訪日客の多くは英語によるコミュニケーションが可能ではあるが、今後、経済成長に伴う訪日客層の多様化に対して、英語だけではなく、インドネシア語での情報発信が不可欠となっていくであろう。

今現在インドネシアから日本へ行ける層はお金持ちの家に限られています。

教育に投資する余裕もあるため、彼らは国内でも高水準な教育を受けています。当然英語も少なからず扱える人が多い。

 

ただ、記事内で触れられている通り今後訪日観光客の幅が下層に広がるにつれ、「英語がまったくわかりません」というインドネシア人訪日観光客も増えていくのは確実でしょう。

インドネシアの一般層は日本人と同じくらい英語が苦手です(英語が苦手でも物怖じせず話す勇気を持っている点は違いますが)。

 

個人的な見解を述べさせていただくと、インドネシアへのPRを視野に入れているのであればインドネシア語対応を今すぐに始めた方が良いです。

理由は単純で「英語が得意でも苦手でも母国語の情報の方が取り込みやすい」からです。

 

さらに日本人視点の情報ではなくインドネシア人視点で情報を発信できると信頼を得やすいでしょう。

 

情報が溢れている時代だからこそ、消費者は「自分向けに発信された情報」に敏感になっています。

特に海外旅行で頼りになるのは自国民向けに発信された情報です。

例えば我々日本人もバリに海外旅行へ行く際を考えてみてください。

バリ観光局が世界に一斉発信している情報より、「日本人向けにカスタマイズされた情報」や「日本人が発信している情報」を頼りにしますよね?

インドネシア人も全く同じです。

 

「他の国もアプローチしなきゃならないし、すべての国で個別に対応するのは無理だよ…インドネシア市場はまだ小さいし…」と思われたかもしれません。

ただ、東アジアやバンコクと比べてインドネシアの観光市場はブルーオーシャンです。

1年後、2年後ではなく5年後、10年後を見据えれば注力する価値は存分にあるでしょう。

参考>>インドネシア訪日観光客のインバウンド市場はブルーオーシャン?