インドネシア人訪日観光客の訪日前行動を考える

前回のブログでは「訪日インバウンド」をテーマとした際のインドネシアの可能性についてデータを整理しながら考えてみました。

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結論としては、インドネシア国内での人気旅行先ランキングで現在10位前後ではあるが今後の伸びしろはありそうだ、というところ。

今回は、「日本に来たいと思っている、もしくはすでに予定計画中のインドネシア人はどうやって情報を探しているのか」という点を考えてみます。

 

データを探してみる

まずはいつもの通りデータは無いかな……っと調べてみました。

いきなりありました。

日本交通公社さんが「訪日外国人旅行者の意向調査(2015)」というデータを発表しています。その中に、まさにドンピシャで「日本旅行をする前にどこで情報収集したか?」という調査項目がありました。

引用:2015年、日本交通公社、訪日外国人旅行者の意向調査

引用:2015年、日本交通公社、訪日外国人旅行者の意向調査

1回目と2回目に分かれていますが、イメージがしやすい1回目の旅行者に絞って見てみます。

一番左側の「全体」を眺めると「友人」「ガイドブック」「家族・親戚」がTOP3になっています。その後は「旅行会社のHP」や「観光局のHP」と続きます

インドネシアは一番右側です。「友人」「ガイドブック」「家族・親戚」のTOP3はインドネシアでも情報源として活用されているようです。「旅行会社のHP」や「観光局のHP」もかなり参照していますね。

ここまでは同じ傾向ですが、「ぽこっ」と飛び出しているのが「SNS」の項目です。「タイ」も同じく「SNS」が飛び出していますね。

以前「インドネシアのソーシャルメディア利用者数などのデータを整理してみた」の記事で書きましたが、インドネシアでのFacebook利用率は異常に高くなっています。

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タイもSNS利用率が高い国として挙げられることが多く、両国ともに日常での情報接点として重要な位置を占めているのでしょう。

うーん、しかしこのデータ、インドネシアだけ各回答のパーセンテージが異常に高くない?と思ってソースを見てみたら「インターネット調査」ですね。

ということは参考情報程度に留めていた方がよいかもしれません。インドネシア国内の調査だとネット調査というのは信憑性が低く、あまり歓迎されません。

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個人的な周囲の状況から考えてみる

残念ながら他に定量的なデータが無かったので周囲の状況から考えてみます。

私の周りにはアグレッシブに自分でお金を稼ぐプロフェッショナルなインドネシア人たちが多く、この2年間でも結構な数「旅行で日本を訪れるインドネシア人」と出会いました。

その都度「どこで情報集めているの?」なんて聞きまわっています(職業病ですね)。

 

訪日経験ありの友人知人は最重要情報源

まず間違いなく情報源として入るのが「すでに行ったことのある友人や知人」。仲の良い友人に限らず、少し遠縁の友人だったとしても伝手を探して聞きまわって情報を集めています。

ちなみに私はインドネシア人ではありませんが「日本人の話を聞きたがっているやつがいる」と紹介されて会ったことが数度あります。アグレッシブですよね。

 

信憑性はともあれ旅行の経験談ブログも情報源

私が会う時にはすでに情報収集を開始しており、ラフなスケジュールが決まっていることが多いです。

面白いのが、どこへ行くの?と聞くと「日本人の私でも知らないようなマニアックな商店街」が「ぽッ」と挙がってきたりします。

なんというのでしょう、例えるならば「新小岩ルミエール商店街」みたいなレベルです(何を隠そう私は一時期東京の新小岩に住んでいました)。

情報源を聞くと「インドネシア人でも日本の物価にめけずにお土産を買える場所」のようなタイトルのブログ記事(※)があり、「マニアックな商店街」やら「駅の中にある価格破壊系のアクセサリー屋」などが買い物スポットとして挙げられているそうです。

※特にこのブログが影響力がある、ということではなくこのような小さなブログを探し回っているようです。

その都度「そんなもの買ってもしょうがないでしょ!しかもきっとそのアイテムMade in China」なんて思ってしまうのですが、確かに渡航した後の滞在費は馬鹿にならないので彼らを理解する部分もあります。

 

訪日情報メディアは見てないの?

最近「日本の観光情報を外国語で発信するメディア」が増えており、インドネシア語で発信するメディアもいくつか出てきています(私が把握する限り8つはある)。

それら「訪日情報メディア」は見てないの?と聞いてみるとだいたい「知らない」と返答が来ます。また、知らないだけならまだしも「知ったとしても見ないんじゃない?」と言われることも少なくありません。

彼らが言うには、

  • 交通機関などの基本情報の参照には使うが旅程選定には使わない

なぜならば、

  • 企業が「ここがおススメ」と紹介する一次情報には価値がない
  • 同じインドネシア人が経験した「体験情報」にのみ価値がある
  • 宗教も文化も所得も違うのだから日本人がまとめた情報はあまり役に立たない

と考えているようです。

インドネシア人の声を集めた「地球の歩き方」的なものがあればよいのでしょうね。

 

情報源が精査されていくのはこれから

私が直接会うインドネシア人たちは所得もそこそこあり、情報の価値判断を自分でするインテリ層です。

彼・彼女たちは訪日メディアに対して少々冷ややかですが、「もう少し下の層が行くようになったら見る人も増えるかも」なんてことを言っている人もいました(自分達がエリートだってわかっているんですね、格差社会を感じます)。

中国であればすでに「訪日したい中国人にアプローチする方法」はある程度体系立っていますが、インドネシアはまだまだこれからなのでしょう。

接点の多いSNSで情報発信しながら今のうちに「知る人ぞ知る観光地」のようにブランドを作っていくのもありですし、リピーターを囲ってアンバサダーになってもらうのも有効そうです。

今回は触れていませんが「クーポン」で押すのも効くでしょう(情報は自分達で判断する!とか言っているインテリ層もクーポンにはものすごく弱い)。

インドネシア人向けに訪日で何か仕掛けていきたい場合は、まずは費用を抑えながら実験的に始めていく段階なのでしょう。

 

 

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