インドネシアのハラルツアー旅行会社が考える日本のハラルツーリズム

最終更新日 2025年3月21日

先日インドネシアでハラルツアーを提供している旅行会社であるCheria Halal Holidayとお話をする機会がありました。

打ち合わせの中で「日本とハラルツーリズム」についても深く意見交換してまいりました。

インドネシア現地のムスリムの方々、且つハラルツーリズムの関係者から直接お話を聞く機会は日本ではあまりないかと存じます。

日本でツーリズムに関わる人たちの参考になると考え、先方の許可を得て公開することにいたしました。

以下よりお話いただいた内容の要約を記載します。

 

訪日旅行に対する印象

Cheria Halal Holidaylは世界各国へのハラルツアーを提供しており、日本への旅行需要の高さも実感している。

しかし、日本はムスリム人口が多い国ではないため、インドネシアのようなハラル対応は難しいことを理解している。そこで、日本独自の環境に合わせた対応を行い、お客様にも理解を求めている。

例えばお祈りは通常1日5回行うが、当社が提供する日本ツアーでは朝と夜はホテルで1回ずつ行い、日中は外で1回行う。合計3回のお祈りで日程を組むことが多い。

訪日旅行についての別の問題点としてホテル価格の高騰がある。日本へ行きたい人は多いが宿泊費がネックとなり別の国を選ぶ人もいる。

 

飲食店のハラル対応について

ハラル認証について

日本の飲食店でハラル認証の取得が難しいことは理解している。そのため必ずしもハラル認証がなくても、ムスリムフレンドリーな対応をしている飲食店であればお客様を案内している。

豚肉について

最も重視するのは、その店が普段から豚肉を提供しているかどうか。豚肉がメニューに載っているだけで食欲を失ってしまうお客様もいるため、この点は非常に重要だ。

ムスリムフレンドリーと打ち出しているお店でも、豚肉を扱っている時点で選択肢からは除外される。

調味料について

次に気になるのが「調味料」である。
特に重要なのは以下2つだ。

醤油:ハラル醤油を使用していること
みりん・料理酒:使用していないこと(ハラル対応のみりん風調味料ならOK)

調味料については、「自分の料理に酒含む調味料が使われていなければ問題ない」と考えるお客様も多い。

ハラルキッチンについて

ハラル認証がない場合はハラル用のキッチンが独立しているかどうかも重要になる。完全に独立したキッチンを用意する必要はない。

キッチンの中に、シンクを含む小さなハラル料理用のスペースを作り、調理工程や道具を分けているというだけでも納得するお客様は多い。

ただし、ハラルキッチンについては、実際に分けているのかどうか事前に見て確認したい、というお客様もいる。

 

日本のムスリム向けレストランガイドブックについての意見

ハラルやムスリムフレンドリー対応状況に関する情報以外に以下の情報もあると便利。

✅ お祈りスペースの有無(店内になくても、近くにある場所を記載)
✅ 大人数での予約可否
✅ 価格帯の目安

 

お祈りスペースについての補足

お祈りスペースに関しては、以下の2点が特に重要だ。

①静かに祈れる空間があること

特別な設備がなくても、静かにお祈りできる場所があれば問題ない。

②手足を洗える場所があること

お祈りの前には手足を洗う必要があるが、多くの施設ではトイレを案内されることが多い。しかし、トイレで手足を洗うと床が水浸しになり、申し訳ない気持ちになる。
そのため、例えば
✅ 建物の外の水道
✅ 床を濡らしても問題ない洗い場
を案内してもらえれば、とても助かる。

 

最後に

お話の要約は以上です。

冒頭でも記載した通りCheria Halal Holidayはハラルツアーを提供している会社です。

彼らのお客様も、当然ハラル対応を期待して相談してきます。

それでも訪日旅行については、ある程度の柔軟性を持ってサービス提供しています。

特に飲食店については、業態は絞られるでしょうが、ハラル認証を得ずともムスリム観光客を取り込める可能性は十分にあります。

また最近では日本国内に居住するインドネシア人も増えており、日本の都市によっては国内でありながらムスリム市場も生まれつつあるようです。

今回の共有内容が日本国内でムスリム対応を考えられている方々の一助となれば幸いです。

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