この記事ではWe are social が毎年発表しているDIGITAL 2024: INDONESIAのデータを中心に活用しながら、インドネシアにけるECの利用状況についてまとめています。
インドネシアのインターネットとSNSの利用状況について知りたい方は、以下の記事もご参照ください。
インドネシアのジャカルタ現地での生活者としてのコメントも交えながら、進めていきます。
【この記事でわかること】
- インドネシアでのEC利用者数や利用率
- インドネシアのECでは何が売れる?
- インドネシアで利用されているECプラットフォームは何か?
Contents
インドネシアネットユーザーのEC利用者数は?
こちらは毎週どのようなものを購入しているか?というデータであり、「ECの利用者数」を示すものではありません。
インドネシアで消費者向けの「商品やサービス」をオンライン購入したことがある人はインターネットユーザーのうちの59.3%。
同レポートでは2024年1月の時点でインドネシアのインターネットユーザーは1.85億人と報告しています。
計算すると、1.85億人×59.3 %で約1.09億人です。
ECの利用者数ではないものの、少なくとも1.09億人以上はECを日常的に利用していると言うことはできます。
他のデータソースを見てみると、Statistaでは2024年のインドネシアのECユーザー数を0.65億人としています(2024年8月発表データ)。
中には2024年時点でECユーザーが2億人を超える、という過去の予測値もありましたが、実際の数値は予測値より下回ったのかもしれません。
0.65億-1憶人前後というのが納得感のある数値なのではないでしょうか。
インドネシアのECの市場規模は?
ECDBのレポートによれば、インドネシアのECマーケットは2023年時点で707億USDあり、2024年には923億USDまで成長すると予測されています。
Statistiaでは2023年のインドネシア市場を820億USDと記載しています。
参照URL:https://www.statista.com/topics/5742/e-commerce-in-indonesia/#topicOverview
インドネシアECで売れるものは?
再びDIGITAL INDONESIAのデータに戻ります。
カテゴリ別の消費額を見ると、最も購入されているのは電化製品で、その後を食品やファッション、DIYグッズやアイウェアと続いています。
増加率で見ると食品が昨対比+14.3%、そしてタバコ製品が昨対比+23.7%と高い伸びを示しています。
ECでの支払い方法は?
最も利用されるのがモバイル電子マネー(39%)。
2位が銀行振込(27%)で、3位がデビットカード/クレジットカード(17%)です。
インドネシアではここ数年でモバイル電子マネーの利用が一気に進みました。ECに限らず、オフラインの店舗でもQRコードから電子マネー決済へ簡単に進むことができます。
銀行振込についてはVirtual Accountという仕組みが普及しています。振込先や金額を打つことなく、購買ごとに発行されるVirtual Account Numberを銀行アプリにコピー&ペーストすることで、細かい入力をせず簡単に振込を完了することができます。
インドネシアではクレジットカードの普及が他国ほど進んでいませんが、このようなシステムがECの利用者増を支えています。
インドネシアで人気のECモール/プラットフォームは?
インドネシアには多数のECモールが切磋琢磨していますが、ここでは2024年2月の訪問者数データを紹介します。
【参考記事】Leading e-commerce sites in Indonesia in February 2024, by monthly traffic
Shopee | 2億2,760万 |
Tokopedia | 9,560万 |
Lazada | 4,360万 |
BilBil | 2,310万 |
Bukalapak | 420万 |
2023年に情報をまとめた際は、まだShopeeがTokopediaを抜いたばかりのころで近い位置にありましたが、2024年序盤の時点で大きく差が開きました。
訪問者数だけ見ればShopeeのひとり勝ちと言っても言い過ぎではないでしょう。
各ECモールと簡単にご紹介します。
Shopee
Shopeeは2015年にシンガポールで創業したオンラインマーケットプレイスです。インドネシアを含む東南アジアほぼ全域に展開しています。
インドネシアでは後述する国産サービスのTokopediaが長らく王者でしたが、後発のShopeeが追い上げ、現在は利用者数1位の座を長らく死守しています。
「ゾロ目の日」などのキャンペーンも有名ですが、Shopeeの利用者数を増やすトリガーとなったのは何よりも「送料無料」のサービスです。送料無料を耳につくジングルに載せ、広告を大量投下しました。
現在では他のプラットフォームも送料無料は珍しくなくなりましたが、今でもShopee利用者には「送料無料」が理由で使い続けている方が多いです。
ちなみにDIGITAL 2024: INDONESIAのレポートでも、送料無料(Free Delivery)がEC購入を促す3番目に強いトリガーとして報告されています。
Tokopedia
Tokopediaは2009年創業のインドネシア国産のECモールです。日本のサイバーエージェントグループやソフトバンクが投資したことでも有名です。
2021年には同じくインドネシア国産のオンライン配車アプリGOJEKと経営統合しGoTo Groupとなりました。GoTo Group は2022年にインドネシア証券取引所へ上場しています。
国産の強みを活かしながら、航空券やホテル、さらには公共料金の支払いなどあらゆるものをオンラインで支払えるようにした立役者の一人です。
現在でこそShopeeに利用者No.1のポジションを譲りましたが、長らく1位の座を守っていたサービスでもあります。
2024年にはTikTokが株式の75%を正式に取得したと発表。現在はTikTokとの連携が非常に強くなっています。
【参考記事】Tiktok acquiring 75% Tokopedia: GOTO’s gain or loss?
Lazada
Lazadaは2012年にドイツの企業Rocket Internetにより設立され、その後中国のアリババ・グループ(阿里巴巴集団)に買収されたECモールです。
アリババグループの資金力を活かし、東南アジア中に独自の強固な配送網を保持していることがLazadaの大きな特徴でしょう。
最近は日本から販売する越境ECサービスの需要を狙い、日本でもアクティブに活動しているのでご存知の方が多いかもしれません。
インドネシアへの展開は2014年なので、やや後発のサービスと呼べるでしょう。しかしLazadaもShopeeと同じく、後発ながらユーザー数を伸ばしました。2024年序盤の現在では利用者数3位の位置を維持しています。
blibli
blibli.comはインドネシア最大のコングロマリットの一つであるDjarum Groupの支援を受けて設立されたサービスです。2011年に創業開始しているので、インドネシアのECモールとしては先発の部類に入ります。
B2CだけではなくB2B、B2B2C ( Business to Business to Customer )も展開している部分は特徴のサービスです。
国産のECサービスということもあり、BilBilは地場産業の活性化をテーマとした取り組みを展開しています。
例えば2022年には農作物の販売支援を展開するPT Mitratani Dua Tujuhと提携し、地場の農作物をblibli.comの多様なオムニチャネルを活用して販売する取り組みを開始しています。
Bukalapak
Bukalapakは2010年に設立されました。
Bukalapakは創業時よりインドネシア語でワルンと呼ばれるような「小規模の事業者」をサポートすることに注力してきた点が特徴でしょう。
ECプラットフォームとしてだけではなく、ワルンのデジタル化を促進するための取り組みも積極的に展開しています。
例えばMitra Bukalapak(日本語だとBukalapakパートナーズ)という仕組みを使うと銀行口座を持たない事業者でも、請求書による振り込みや資金の預け入れなど、ほぼ銀行と同じ機能を活用することができます。
2021年にインドネシア証券取引所に上場しています。
蛇足ですが、別の記事では「ライブコマース」に関する情報もまとめています。
ご興味のある方は、そちらの記事もご参照ください。