1km移動に30分以上、ジャカルタの渋滞について考える

macet(マチェ)。
インドネシア語で「渋滞」のこと。
ジャカルタで生活する上で、避けて通れない問題がこの「渋滞」です。
■どれだけひどいのか?
移住前まではタイの渋滞がアジアNO1、と思っていましたが、ジャカルタに住んでランキングに変化が。
ジャカルタの渋滞がアジアNO1ではなかろうか。
例えば1kmの移動。
すいていればものの10分程度ですが
(普段道が混む分、すいている時のドライバーは時速80kmアベレージで飛ばします)、
ラッシュ時にぶつかると3~40分かかるときもあります。
ちなみにラッシュは朝・夕の2回。
たまに日中にもボーナスラッシュが発生します。
単純に車が多い、ということ以上に、
道路の作り方が根本的に間違っている、と感じます。
例えば「はす向かい」の建物に向かいたい場合、
日本だとすぐにUターンや右折左折ができるのですが、
ジャカルタの場合は複数の道(Jl./ジャラン)を迂回して
対向車線に移動しなければなりません。
なぜならば、この街には「交差点」と「信号」が無いのです。
数少ない大動脈を、ず~~~っと車が流れている感じ。
(日本は細かく区分けされた毛細血管ごとに車が流れている感じ)
動脈が全部つながっているので、一部が詰まるとその他の動脈も全部詰まる。
■ソリューションは?
ASEANの雄となりつつあり、海外からの注目も高まる中、このような状況を放置するわけにもいかない。
ということで、日本勢のサポートを受けながら「MRT」の開発が進んでいます。
<参考記事>
日の丸ゼネコン、地下鉄着工 ジャカルタ、渋滞解消の切り札期待(Sankei Biz)
完成は2018年目標。
頑張れ日本企業!
ところが面白いのはここからで、肝心のインドネシア人たちはこのMRTに対してあまり期待を持っていないようです。
「MRTができたら渋滞解決するんじゃないの?」と会話を振ると、
「いつできるかわからないよ、きっと2018年には完成しないだろうね・・・」
「できたところで解消しないんじゃないかな・・・ここはインドネシアだしねぇ・・・」
なんて返事が返ってきます。
なぜこんなにネガティブなの!?と深堀ってみたところ、
どうやら「トランスジャカルタ(市内を走る高速バス)」の苦い思い出があるそうです。
トランスジャカルタ(以降TJと記載)↓
2004年からテスト運行が始まり、政府も「これで緩和されるはずさ!」と
大手を奮って導入していったそうですが、結局渋滞は何も解決されず・・・。
「結局MRTもTJと一緒だよ」とやさぐれてしまうわけです。
■なぜTJがワークしないのか?
考えられる原因としては(単純に車が増えている、ということ以外に)、
①ルールに対する甘さ
②自動車=ステータス
というインドネシア人のインサイトがあると思っています。
①ルールに対する甘さ
このTJ、大動脈の中央分離帯側に専用道路を持っています。
本来はTJしか走れないはずですが、道が混んでくると一般車やバイクが外側の道路から漏れてきます。
結果として、なんと・・・まさかの・・・TJが3~4台並んで渋滞に・・・!!!
ミイラ取りがミイラになるとはまさにこのこと。
きっと最初は厳しく取り締まっていたのでしょうね。
でもあまりに一般道が混んでしまうので、管轄側も容認せざるを得ず。
今や暗黙の了解で「OK」になってしまったのでしょう。
②自動車=ステータス
「いつかは家族で自家用車!!!」が現在のジャカル中間層、ポスト中間層の目標です。
いい車に乗ること、が家族のステータスです。
せっかく買った車ですから、車庫に眠らせるわけもなく、
渋滞でも構わないので乗り回すのでしょう。
結果、TJの利用者は一定で止まり、引き続き車を利用する層が残ってしまっているのだと思います。
肝心のMRTが導入されたとしても、この②を解決しない限りはジャカルタの渋滞は解決しないだろうなあ、と感じます。
日本勢のサポートがあるので、多少納期が遅れたとしても精度の高いMRTは確実にできるはず。
インドネシア政府にはこの「自動車=ステータス」マインドセットを変えるような情報発信・キャンペーンを期待します。
消費者の成熟レベルが違うから難しいのかもしれないけど・・。
■渋滞なら歩けばいいじゃん(蛇足です)
歩けばいいじゃない!と思われる方も多いかと思いますが、残念ながら歩道が整備されておらず、歩くに適した街ではありません。
未整備なため、巻き上がる粉塵と排気ガス、そしてむき出しの排水溝から香る下水臭にまみれて道路の端を「さすらいの旅人」のように歩く羽目になります。
ところが、筆者の会社はまだアーリーステージのため、タクシーで渋滞に巻き込まれる無駄な時間も交通費も極力減らしたい。
というわけで最近防塵マスクを買いました。
1km以内の移動は極力この相棒とともに歩くようにしています。
きっと、誰も私のことを日本人とは思わないでしょう。
事実、最近街になじみ過ぎたせいか土着の中国人と間違われます。
よって絡まれることもなく、結構安全に歩いています(もちろん日中限定ですが)。
ジャカルタにいらっしゃる方で、ぜひ歩いてみたい!という方はお声掛けください。
一緒に歩きましょう!!