インドネシア国産のスマートフォンアプリ「GOJEK」が人気な理由

現地に住んでいるという理由で、「インドネシアではどのようなビジネスを展開すると当たるのか?」という質問を受けることがあります。

日本と比較すると足りないものだらけなので、「これがあれば良いのに」というサービスは確かにいくつかあります。

 

私が日本を発つ時によく言われたのは、「日本が通った道を他国も通るので、日本が同じ発展レベルだったときに必要とされたサービスを提供すれば良い」ということでした。

しかし現地で生活・ビジネスをしてみると、必ずしもあてはまるものではないと考えています。

 

確かに、日本との比較で足りないものはたくさんあります。

その中にはインドネシアでも今後必要とされるものもありますが、ITによるビジネスのフラット化、その国ならではの状況があり、独自の発展を遂げる分野も多々あります。

そこからインドネシアならではのサービスが生まれています。

この「インドネシアならではのサービス」という視点で最近気になるのは「GOJEK(ゴジェック)」というアプリです。

GOJEKの基本サービス

GOJEK

GOJEKアプリのトップページ(写真はGOJEKの公式Webより引用)。

 

いわゆる配車アプリで、インドネシア人の足であるバイクタクシー「OJEK(オジェック)」を対象としています。

GOJEKが提供するサービスは、

  1. INSTANT COURIE(バイク便)
  2. TRANCEPORT(バイクタクシー)
  3. SHOPPING(100万IDRまでの買い物代行)
  4. GO-FOOD(フードデリバリー/2015年5月時点では無料キャンペーン中)

の4つで、現在はジャカルタでのみで展開しています。

 

GOJEKを広げた「インドネシアらしい理由」

さて、このGOJEK。OJEKをテーマとしているからユニークというわけではなく、移動以外の買い物代行機能まで備えているからユニーク、というわけでもありません。

私はその広がり方の理由がインドネシアらしくてユニークだなぁ、と感じています。

渋滞の深刻さが世界一と(※)されるジャカルタですから、ユーザーがこのサービスを使うのは確かに「便利で楽ちん!」という理由もあります。

※英国のエンジンオイルメーカー「カストロール」が2015年に発表した調査で、ジャカルタは『渋滞が最も深刻な都市』とされました。自動車がまったく進まないことも多く、OJEKを手軽に呼び出して利用できることは利便性が高いです。

ただ、理由はそれだけではありません。

「安全・安心」という理由も強くあるようです。

 

GOJEKの浄化作用

GOJEKのドライバーは完全登録制で、本部が面接をして信頼に足る、と判断したドライバーのみGOJEKドライバーになれます。

DRIVER

ドライバーの顔写真と名前が表示される (写真はGOJEKの公式Webより引用)。

 

この徹底した管理の背景には、「OJEKはインドネシア人の身近な乗り物でもあるが、必ずしも安全・安心な乗り物ではない」、という状況があります。

もう少し具体的に書きます。

まず、OJEKの価格は交渉制なので価格トラブルが発生することがあります。

また、運転が荒い運転手もいます(結構な確率でスピードメーターが壊れていたりします)。

さらにそれより危険なのは犯罪に巻き込まれるケース。

現地人に聞いた話だと、裏道に連れ込まれての恐喝や、女性の場合は過去に強姦事件も起きているようです。

 

その点、GOJEKでは料金は事前に明示されますし、身元情報も確かなドライバーを採用しているので安心して利用できます(運営側も買い物代行のキャッシュを預けるので当然といえば当然ですが)。

ドライバーもトラブルを起こして除名されるのは避けたいので、犯罪はもちろん危険な運転すらしないかもしれません。

 

そうなると、GOJEKが浸透する結果として、悪質なOJEKドライバーは仕事を取りにくい状況となり、良質なドライバーが増えます。

極端な言い方ですがGOJEKは一種の浄化機能を担っているのではないでしょうか。

 

この「安全・安心」は消費者だけではなく政府も動かしています。

ジャカルタ市はGOJEKの浄化機能を認めており、すでにジャカルタ市内公共機関の連携を強める、と表明しています(具体的な方法論はわかりませんが)。

 

 

まとめ

まとめるとGOJEKは、

 

・ドライバーには積極的に仕事を取る機会を。

・消費者には利便性と安心感を。

・政府にはドライバーの浄化機能を。

・事業社には収益として運賃の一部を。

 

もたらします。

世界的な潮流でもある配車アプリのシステムを用いながら、うまくインドネシアならではの課題を拾い上げ、3方どころか4方よし、のサービスに仕立て上がっています。

国の発展状況はまだまだ、とはいえ、インターネット社会なので入ってくる情報は先進国も発展途上国もそこまで変わりません。

今後もこのようにインドネシアならではの視点を持つサービスが登場してくるのかもしれませんね。