ふわりとしたインドネシアの広告プロモーション依頼こそ明確なRFP(Request for Proposal)が必要な理由

インドネシア広告宣伝業界の人たち(インドネシア人)と話をすると「日系企業の相談はあいまいで困る」という話をされることがあります。
話を聞いてみると、特に海外から…つまり日本国内からの相談を指しているようです。
日本から見ると「いやいやインドネシアの方がふわふわしているでしょ」と思われるかもしれませんが、インドネシアでも「外資系」と仕事をするような人たちは「具体的」な依頼に慣れていたりします。
日本はモノづくりの分野では様々なことをカッチリと決めます。
一方コミュニケーションの分野では、確かに日系企業の依頼内容はその他外資系と比べ少しふわりとしているかもしれません。
様々なことがあいまいに進みがちなインドネシアだからこそ、依頼内容はしっかりと固めておいた方がよいでしょう。
当社の経験も踏まえて、思うところを少し書いてみます。
Contents
日系企業の相談は抽象度が高い?
インドネシア人の意見をまとめつつ、当社の経験も踏まえて話すと、この問題には2つのパターンがあります。
パターン①:そもそも相談の段階で細かいことが決まっていない
1つめのパターンは、未確定事項が多い段階でプロモーション提案を求めるパターン。日本から動かずに海外展開を狙う企業に多いかもしれません。
例えば、
・日本で実績あり&大人気の商品をインドネシアでも販売予定。発売に合わせてプロモーションを展開したい。ただし「販売価格」、「販売チャネル」は検討中。現地に現物もまだなし。
のようなケースです。
パターン②:目標や達成したいことが数値化できていない
もう一つのパターンは、商品情報は明確でも達成したいことが不明確なパターン。
例えば「商品認知を高めるために、ジャカルタのアッパーミドル層を対象にイベントを開催したい」という依頼があるとします。
- 何名の集客が目標なのか?
- 商品販売などは行わず、認知拡大だけに絞ってよいのか?
- 商品販売するなら販売目標個数はいくらか?
- その後のマーケティングプラン(チャネルや商品展開含めて)
などを突き詰めると「ふわり」としてしまう場合があります。
日本でも起こり得ますが、海外だと特に起こりやすいかもしれません。
あいまいな国民性だからこそ、RFPで与件を明確に絞り込むべき
インドネシアの国民性は「かちりとしている」とは言えません。だからこそ相談の段階でやりたいことをしっかりと決めておく必要があると感じています。
あいまいな内容で進めると、インドネシア人の常識で様々なことを判断していきます。
日本人同士であれば同じ価値観や常識を持っているので、多少依頼があいまいでもそこまでずれることはありません。
一方、インドネシア人と日本人の常識は大きくことなります。インドネシア側が「善かれ」と思って決め込んだことでも日本の本社に持ち帰ると「なんか違う」となることも多いです(※)。
※日本の常識とずれているだけで、インドネシアからすれば「常識」なことも多々あります。これはまた違う話になるのでここでは語りません。
ずれを防ぐためには相談の段階で「何を考えてほしいのか?」「何をしてもらいたいのか?」を明確にすることが重要です。
そのためにはRFP(Request for proposal)が役立ちます。
RFPの項目に決まりはないのですが、一般的には下記のような項目が含まれます。
- 相談背景
- 実施内容
- 実施目的
- 目標値(成功判断の基準となる数値指標)
- 想定される課題
- 相談先への期待値
- 予算
- 実施時期
問題提起はクライアントサイドから、課題設定と解決策は現地エージェントからが理想
日本国内での経験、インドネシアでの経験も踏まえての結論ですが、うまくいくプロジェクトというのは相談元と相談先の役割がきちんと整理されています。
理想を言えば、
- 問題提起は相談元から
- 課題設定と解決策の詳細提案は相談先から
というのが理想です。
逆に、問題提起もない事象だけの相談というのは最悪です。
例えば「秋口に日本で売れているこの商品をインドネシアで発売するから何かしたい」というようなパターンでしょうか。
実はこの手の相談背景には「日本で売れているから海外でも売れるだろう」という考えが見え隠れしていたりもします。
今の時代「日本で売れているから売れる」なんてことはもはや幻想です。
ゼロから認知度やブランドイメージを高めていく考え方で進めなければ何事もうまくはいかないでしょう。
そのような考え方になれば、自ずとRFPも埋まってくるはずなのです。
最後に蛇足です。
今はだいぶ変わっていますが、それでも日本にはいまだに「お客様は神様」的なコンセプトが根付いています。
BtoB の領域でも「相談すれば見積もりや提案をもらえる」と考えている企業が多いかもしれません。また、実際に相談を受ける側もできるだけ提案をしていきます。
一方海外では「店にも客を選ぶ権利がある」というコンセプトの方が一般的です。BtoBの領域でも「あいまいな相談は断る」企業は少なくありません。
インドネシアの場合、表面上はダイレクトに断らなくても実際には提案する気がないということも多々あります。
会話だけのやり取りではあいまいな部分が残ってしまうからこそ、きちんと依頼内容を明文化して進めていく方が結局は手間が省けたりするものです。