
本記事ではインドネシアにおけるSNSの利用状況について、2021年3月1日時点で最新の情報をまとめます。
昨年2020年2月末にも、インドネシアのSNS事情についてまとめていました。
データを比較することにより理解が深まるかと思います。ぜひ過去のデータもご覧ください。
2021年時点でのインドネシアのインターネットユーザー数はどれくらいか?
Asosiasi Penyelenggara Jasa Internet Indonesia(APPJI)が2020年の9月に発表したデータによれば、インドネシアのインターネットユーザー数は当時時点で1億9,670万人となっています。
【参考】Jumlah Pengguna Internet di Indonesia Capai 196,7 Juta
さらにHootsuiteとWe are socialが共同で発表したDigital 2021によれば、2021年時点でのインドネシアのインターネットユーザー数は2億260万人となっています。この数値はインドネシア現地のメディア大手KOMPASでも大きく報じられました。
【参考】Jumlah Pengguna Internet Indonesia 2021 Tembus 202 Juta
昨年の同調査では1億7,540億人と発表されていたので、1年で2,500万人強のインターネットユーザーが増えたことになります。
一方、同調査ではインドネシアにはインターネットにアクセスできない人がまだ7,230万人いるとも発表されています。
この数値はタイの人口とほぼ同じです。
しかし利用者増加の勢いを考えれば、インドネシアのほぼ全人口がインターネットを使えるようになる日はそう遠くはないでしょう。
インドネシアでは「パソコン」よりも「スマホ」でだらだら
ここからはDigital 2021のデータ引用しながら、まとめていきます。
インドネシアのインターネットアクセスを考える時にもう一つ重要なのは「どのデバイスでアクセスしているのか?」という視点です。
パソコンが個人に普及する前にスマートフォンが普及したため、ほとんどのインドネシア人はスマートフォン経由でインターネットへアクセスしています。
まずネットへの接触時間を見てみると、インドネシア人は一日あたり8時間52分インターネットに接触しています。
日本は4時間25分ですので、おおよそ倍です。
ここまで来ると「ご飯」と「睡眠」以外はずっとインターネットに接触していると言っても過言ではないでしょう。
モバイル経由での接触時間は5時間4分となっており、世界第4位です。
ところがパソコン経由になると3時間48分となり15位まで下がります。
日本でもマーケティングを考える際は「スマホファースト」と言われて久しいですが、インドネシアではもはや「スマホだけ」を考える時代に突入しています。
インドネシアでの各SNS利用状況は?
これだけモバイル(=スマホ)経由でのインターネット利用時間が伸びている背景には、もちろんSNSの人気があります。
インドネシアにおける主要SNSの利用状況を見てみましょう。
利用者数の伸びが激しいインドネシアのSNS
インドネシアのSNS利用者数は、対人口で見るとまだまだ多くはありません。
Digital2021 によれば61.8%となっており、東南アジアの隣国たちと比較してもやや低い数値となっています。
これはインドネシアがまだ発展段階の国であり、且つ人口母数が大きいという2つの理由によります。
決してSNSがないがしろにされているということではありません。
むしろインドネシアではSNS利用者数の伸びは激しく、「SNS利用者が増えた国」として世界5位にランキングされています。
データによれば2020年から2021年の1年間で1000万人超増えたようです。
SNSの依存度が高いインドネシア
インドネシアではSNSの使われ方も特徴的です。
ある意味で時代の先端を行っているとも言えるSNSの利用状況をもう少し見てみましょう。
まず、インドネシアの平均的なSNS接触時間(1日あたり)は3時間14分となっています。
昨年よりも10分ほど減っています。利用者の幅が広がったことが影響しているのかもしれません。
いずれにせよ半日程度をSNSに投じてることに変わりはありません。
蛇足ですが日本は51分…と1時間を切っています。
日本でもSNSが生活に浸透している印象がありますが、インドネシアと比べればまだまだと言ったところでしょうか。
もう一つインドネシアで触れておきたいのが、SNSの使われ方です。
次の表は「インターネットユーザーの中で、SNSでブランドリサーチをする人の割合」です。
インドネシアは上位(6位)に位置しており、65.1%となっています。
インドネシアの多くのインターネットユーザーが、ブランドや商品について調べたい時にSNSを使うということです。
また、インドネシアでは「仕事」においてもSNSを頻繁に利用します。
データによるとインドネシアでは60%のネットユーザーが仕事上でSNSを活用しています。
これらのデータから「インドネシアではSNSの依存度が非常に高く、すでに生活でも仕事でも切って考えることはできない」という状況が見えてきます。
インドネシアで人気のSNSは?
下記は『インドネシアで最も使われているSNS』に関するグラフです。
16歳から64歳のインドネシアのインターネットユーザーに、直近1カ月で利用したSNSを回答してもらった結果です。
わかりやすくTOP5 を昨年の同データと並べてみました。
ソーシャルメディア名 | 2021 | 2020 |
Youtube | 93.8% | 88% |
87.7% | 84% | |
86.6% | 79% | |
85.5% | 82% | |
85.5% | 56% |
世界中で利用者を増やしているYoutubeを筆頭に、全体的にアクティブなユーザーを増やしていますが、InstagramがFacebookを追い越したことは特に印象的です。
FacebookかInstagramか?
日本にいる方は「インドネシア=Facebook」というイメージをお持ちかもしれませんが、現地の肌感ではすでに「インドネシア=Instagram」となっています。
下記は「各SNS広告のリーチ数」一覧です。
正確なアカウント数とは異なりますが、「何人にリーチできる」という意味では利用者数に近いデータと言えるでしょう。
マスメディアではないのであまり意味はないかな…と思いつつも規模感の参考になるだろう、ということで「総人口カバー率」も付け加えておきます。
項目 | 数値 | 総人口カバー率 (母数2.7億) |
ソーシャルメディア利用者数 | 170,000,000 | 61.8% |
Facebookリーチ数 | 140,000,000 | 51.9% |
Youtubeリーチ数 | 107,000,000 | 39.6% |
Instagramリーチ数 | 85,000,000 | 31.5% |
Linkedinリーチ数 | 17,000,000 | 6.3% |
Twitterリーチ数 | 14,050,000 | 5.2% |
Snapchatリーチ数 | 7,250,000 | 2.7% |
(Digital2021のデータを元に当社で作成)
上記表を見ると、インドネシアでは圧倒的にFacebookの利用者が多いことがわかります。
少なくとも「Facebookのアカウントの数は他のソーシャルメディアよりも多い」と言えます。
この1.4億という数字は世界でも3番目に位置しています。
この数字だけ見ると「さぞインドネシア人はアクティブにFacebookを利用しているのだろう」という印象を受けますが、実はそうでもありません。
以下は「Facebookユーザーの平均的なコメント数(1カ月あたり)」の一覧ですが、インドネシアは世界平均と同じ「5件」となっています。
また「Facebookユーザーの平均的ないいね数(1カ月あたり」では世界平均を下回っています。
利用者数が増えればアクティブ率が下がるのは世の常ですが、端的に「インドネシア=Facebook」と考えるのはもう時代遅れです。
「Facebookはマーケティングに使えない」ということではなく、きちんとターゲットや目的を考慮した上で使い分ける必要があるということです。
ネット速度とアドブロックの利用率も念頭に
最後に蛇足ですが、気になったデータを共有します。
インドネシアのインターネットは東南アジアでも群を抜いて遅い
以下は モバイルインターネットの速度を一覧化したものです。
ベトナムやマレーシアなど東南アジア各国も決して早くはないのですが、インドネシアは群を抜いて遅いことがわかります。
これから時代は動画マーケティングが主流になっていく可能性が高いのですが、インドネシアに関して言えばネット速度を考慮しながら展開する必要があるでしょう。
仕事上でも巨大なデータを日本から送ると現場が止まりますのでご注意ください…。
アドブロックの利用率が異常に高い
もう1点興味深いのは「アドブロック」の利用率です。
なんとインドネシアはアドブロックの利用率が世界1位です。
これは仮説ですが「せわしない強制ポップアップ広告」が理由だと思われます。
インドネシアでのWebサイトは規模の大小関わらずとにかく広告が表示されます。大手のニュースサイトでも同様です。
コンテンツを読むことができないほど広告が出現することもあり、インドネシアのネットユーザーは嫌気が刺しているのでしょう。
これは「画像や動画のディスプレイ型広告」の効果に影響を与える可能性が高いです。
アドネットワークを活用したプラットフォーム横断型の広告は、今後インドネシアでは効果が薄まる(すでに薄まっている?)かもしれません。
長くなりましたが、インドネシアのSNSに関する情報をアップデートいたしました。
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