ジャカルタ新卒の生活費(後篇)

前回の続きです。
「この物価が高いジャカルタで、インドネシア人はどのように生活しているのか?」、あらため、
「この物価が高いジャカルタで、月3万円でどのように生活していけるのか?」という話。
現地人の話を元に記載します(※)。
※統計データに基づく話ではないので、あくまで個人談としてご理解ください。
■親の支援
インドネシア人とはいえ、3万円以下でジャカルタで生活していくのは事実厳しいそうです。
多くのジャカルタっ子の場合は親の定期的な支援があったり、家も実家にパラサイト、することが多いとのこと。
「でも、それはスネをかじれる親がいるからでしょ?」と突っ込んだところ、
スネをかじれなかった友人たちの話に推移しました。
(私の周囲のインドネシア人は比較的裕福な家庭の出身者が多いです)
■家はベッド無し、床にタオルで雑魚寝
ジャカルタにはコス(Kost)という「寮」と「マンスリーマンション」の中間みたいな賃貸物件があります。
めぞん一刻の「一刻館」的なやつです。
(コスの紹介サイトからコスのイメージが閲覧できます)
筆者が移住した際も、コスを進められました。
日本人が住める最低レベルとして推薦されたコスは、月4万円~の物件(ちなみに日本の家族連れ大手駐在員は家賃15~40万程度のコンドミニアムに家族で住むのが相場だとか)。
話を戻します。
親のスネをかじれない新卒は、5,000円程度のコスに住むそうです。
私が知っている通常のコスは(インドネシア人の友人が住んでいる場所も含め)、
テレビ、収納タンス、ベッドなどが最低限ついているものですが、激安コスはもちろん何もなし。
布団を買う金もないので、ほぼ床に雑魚寝、で寝るそうです。
もちろんトイレは共同、シャワーも共同。キッチン、洗面所は無し(トイレがシャワー兼洗面所の場合多し)。
その代わり光熱費は込み込みが主流です。
■ご飯はワルン(より安い?)の激安飯
筆者がワルンでご飯を食べた際、一食200円程度で感動を覚えましたが、
それを上回る激安飯があります。
歩道橋の途中とか、歩道橋の下(※)などで展開している、
路上飯・・行商・・・?のような業態。
※必ずしも歩道橋にあるわけではなく、参考場所です。狭い路地によくあるようです。

ということで歩道橋の様子。トランスジャカルタ直結なので朝は通勤ラッシュが発生します。

白人男性も利用(珍しいです)。

歩道橋の上は行商さんがびっしり。

おばちゃんが自宅から作って持ってきた(?)朝食販売。

この男性はパンを販売。どこから仕入れているのだろうか。

たたき売りはしていないが、バナナも販売。

現地のお姉さんも購入していく。
白米にオカズを1品載せて、数十円、らしいです。安ければ50円程度~。
仮に80円だとすると、80円×3食×30日で7200円。
毎日ミネラルウォーターを1本買ったとしても、40円×30日で1200円。
合計8400円。
うん、確かに収まる。
食費と家賃(光熱費込)でここまで13,400円程度。
■携帯電話で会話はしない
携帯はプリペイド型を活用し、機種購入時の変動費は別として、
固定費としてかかるプルサ(通信費)は月250円に抑える。
250円のプルサ。ネットサーフィンどころか通話も極力せず、
もっぱらSMSで友人とコミュニケーションを取るそうです。
Facebookはスターバックスの無料Wi-Fiをこっそり使って凌ぐのでしょうか・・?
ここまでで、ざっくり14,000円。
■乗合バス
「アンコタ」と呼ばれる乗合バスがあります。
ミャンマーにもありましたが、路線が決まっている(ようには見えないのですが、決まっているらしい)バスで、
路線内の場所であればで好き勝手に乗り降りできるようです。
(筆者は路線がよくわからず、いまだチャレンジできていません)
アンコタについてはこちらのブログに美しい写真があります(筆者、撮影できず)。
距離にもよりますが、1回30~50円程度、だとか。
仮に50円だとして、1日2回乗降×30日。週末用に8回足して、68回×50円=3400円。
ここまでで、ざっくり17500円。
上記までで最低限の支出をカバーできているでしょう。
その他、服飾費や雑費、交際費があるのでしょうが、まだ10,000円程度あるので
なんとかやっていけるイメージが湧きますね。
■まとめ
3万円以下でもなんとか生きていけるようです(さすがに日本で育った筆者は無理かも・・)。
ただ、この3万円という数字は新卒の初任給とはいえ、
あくまで大卒の給与。しかも上記は独身者のお話です。
実際は高校も大学も行けずに、さらに低い生活費で暮らしている人も多いはずです。
聞いた話だと、地方から出てきた月1万円台しか稼げない人たちは、上記の激安コスを複数人でシェアするそうです。
(ルームシェアならずスペースシェア?)
また、3万円で家族を養っている人も多数いるでしょう。
このような生活をしている人が多くいる傍ら、
綺麗なモールで超高級品を買い回り、フェラーリを乗り回す富裕層も多数いる。
・いや~、すごい格差だな~
・3万円で生活とか無理だよ!
なんて思ってしまいますが、昔の日本も同じようなモノだったのかもしれません。
我々の父世代の話でも、北海道から進学のために上京して4畳半をルームシェアしていた、なんて話がありました。
また、戦後の格差も相当激しいものがあったと聞いたことがあります。
そう考えると何もインドネシアの状況も特別なものではなく、必然的なプロセスなのかもしれません。
資源と人口があるので経済成長を継続するチャンスはたくさんあります。
平均所得がどこまで伸びるか、格差は埋められるのか、
行く末を現地で見守り今後も伝えていければと思います。