インドネシアで合成リキュールによる中毒が増加中

危険ハーブ(元脱法ハーブ)が日本で社会問題化していますが、
ここ、インドネシアはジャカルタでは合成リキュールによる中毒が社会問題化しています。

lgf01a201409031800

 

■病院送りを量産、危険なハンドメイドリキュール

その名も合成リキュール「Oplosan」です。
最近、頻繁に下記のようなニュースを目にします。

16 die drinking ‘oplosan’in Garut(Oplosanを飲んで16人が死亡)

少し辿ったところ2013年の11月付けのコラムがありました。

Oplosan Offers a Cheap Path to Alcoholic Oblivion(Oplosanはアルコールによる昏睡への近道)

このOpolsanと呼ばれるものは、

・素人が作るハンドメイドの合成リキュール
・路上のストリートサプライヤーが販売している(正規のスーパーなどにはない)
・価格は1Lで500円程度
・リキュールとは名ばかりで、薬用のエタノールやら工業用アルコールやらが入っているらしい
・若者が集まるホットスポットで売られている

というものです。

お金の無い20代や、10代の若者が一夜の高揚を求めて買っているようですね。

 

■教義 VS ライフスタイルの変化

インドネシアは9割以上がイスラム教徒です。
そしてイスラム教は「豚」「酒」を摂取することは教義上できません。

ただ、その信仰度合は人によって異なります。

特に大都市の若者においては西欧型のライフスタイルが入ってきたこともあり、
酒について柔軟に捉えている人々が増えているようです。
(実際に筆者もお酒を飲むイスラム教徒の方に出会ったことがあります)

現在のジャカルタはものすごい勢いで海外のプロダクトやサービスが流入しています。
さらに外国人の数も年々増えています。

ショッピングモールに出かければ、こじゃれた食事と音楽、
そしてお酒を楽しむ人々(外国人か中華系のクリスチャンが多いのですが)を見ることができます。

あくまで私の主観であり、宗教についてどうこう言うつもりはありませんが、
楽しそうに酒を飲んでいる人たちを見てしまえば、
少しくらい、、、と踏み込んでしまう若者が出てくるのも避けられないことかもしれません。

(酒を飲むことの是非はここでは触れません)

 

■酒税、憧れ、そして合成リキュール

インドネシアのお酒は非常に高い。
普通の値段(あくまでも対日本との比較)で買えるのはビールだけ。

ビールは国産のビンタンビールをはじめ、

フィリピンのサンミゲール、オランダのハイネケンやカールスバーグ、あたりは手頃な値段で購入可能です。

ところがワイン、ウィスキー、その他スピリッツ類になると話が違います。

ワインは日本価格の3倍。
日本ならセブン-イレブンで1,000円以下で購入できるワインが3,000円~。
美味しいワインを飲むなら市販で5,000円~
お店で飲むなら8,000円~

ウィスキーは日本価格の3倍。
筆者が大好きなマッカラン12年。
日本なら4,000円強ですが、インドネシアでは12,000円します。

スピリッツは日本価格の4倍。
筆者が大好きなタンカレーのジン。
日本なら2,000円ですが、インドネシアでは8,000円します。

高い、、、高すぎる、、、。

日本人ですら価格の壁を感じるこの価格障壁。
現地の若者が気軽に購入するのは無理です。

さて、上記の価格状況はあるものの、より深い酔いを求めてしまうのが人間というもの。
特に若者は探求心旺盛なので、ビール以外のハードリカー(アルコール度数が高いお酒)にもチャレンジしたいのでしょう。

しかし、とても若者の所持金で正規のハードリカーを買うことはできない。
そこで多少の危険性はわかりつつも合成リキュールに走ってしまう、というわけです。
日本でも、戦後「ばくだん」という粗悪な酒が出回りメチルアルコールによって失明する事件が多発していました。
危険を冒してでもアルコールを求めてしまう、、、これが人の性なのでしょうか。。。

 

■最後に

日本でもよく大学生が一気飲みで病院に運び込まれますが、危険度はその比ではないです。

少し雑談ですが・・・
筆者は学生時代男子寮に住んでいた時期があります。
時間と情熱はあるが金が無い、という時期。
筆者以外の寮生も同じです。
どうしてもお酒が飲みたくて、消毒用エタノールを飲んでいた人がいました。
筆者も一口なめましたが通常のお酒とは別物で飲めたものではありませんでした(あたりまえ!)。

冗談はさておき、エタノールでもこの状況ですから、
複数の混ぜものを一気飲みした日には病院送りは間違いないでしょう。

さらに悪いことには、この合成リキュールの話はジャカルタだけではなく地方にも広がっているようです。
(先日ジャカルタ以外の地域で同じように死亡事故があった、というニュースを見ました)

急速な経済成長の裏にはライフスタイルの変化があり、
変化の裏にはネガティブな変化も隠れている、という一例でした。

関連記事

  1. コンビニで「アレ」が買えなくなる!?

  2. インドネシア大学へ行ってきました

  3. インドネシアの月額最低賃金推移(2015年1月時点)

  4. Interfood Indonesia 2014 に行ってきました!

  5. インドネシアの株式市場(2014年12月)

  6. 2019年の大統領選挙投票を終えて